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■ 東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム


東 浩紀, 北田 暁大 / 日本放送出版協会

見知らぬ場所を訪れたとき、コンビニに入って妙に落ち着くことはないだろうか。
どこにでもあり、最高ではないが一定の水準でサービスを保つコンビニやファミレス、そしてジャスコのような大型スーパー。本書ではこのような商業施設が浸透していく都市を「国道16号線的」「ジャスコ的」というキーワードで批評していく。

足立区、青葉台、西荻窪、東雲という東京周辺の具体的な街から、対談形式で進められていく。一見、東京論かと思いきや、日本全体で進行しているの都市/郊外/地方論である。

ジャスコ化していく東京を新しい可能性として肯定するのか、下北沢的な個性の街が失われていくことに抗うのか。

追記
世代によって都市が棲み分けられているというくだりは妙に納得。例えるならば、おばあちゃんの原宿:巣鴨とか。
子供が生まれたという東氏だが、車で移動できて、おもちゃ売り場やプレイランドが併設されている郊外型スーパーと子供のいる家族の親和性は高い。ならば1971年生まれの著者二人が未だに渋谷への幻想を抱いていたら、少し寒い。

ジャスコのようなスーパーがいつ頃から複合的な商業施設になっていったのかも気になるところだ。

もうひとつ。下北沢のような魅力的な街が失われていく時に、バリアフリーや防災などの人間工学的な見地によるところが大きく、それに対して猥雑なサブカル的風景の魅力が説得力を持てないという。その風景を保存することは、「美しい景観」などという特定の価値観(ヨーロッパの都市モデル?)に基づいた景観論争と変わりないのかもしれない。

地元の人々は災害に弱く醜い街を変えたいという思いから再開発を望み、一方、その街に愛着を持った訪れる人々はその風景を守りたい。ここまで単純な図式ではないだろうが、風景あるいは都市に対して無自覚なまま、地権者の意志に最終的な決定権があるのか、公共と私有の境界線を再考する必要があるのではないか。

コンビニの便利さとロードサイドシティの光に魅了され、同時に下北沢や渋谷に引きつけられる。
結論は保留のまま、もう少しこの場で考えていこう。

■ Skateboarding, Space and the City

スケートボーディング、空間、都市―身体と建築
イアン ボーデン, Iain Borden, 齋藤 雅子, 矢部 恒彦, 中川 美穂 / 新曜社

「建築をして戦慄せしめよ!」
この帯にやられてしまう人は多いかもしれない。
「スケートボーディングは 躍動する身体による建築批判であり 都市空間の再創造である!」

膨大なスケートボードの歴史資料があるかと思えば、スケートボードが一瞬に作り出すミクロな状況の精密な描写がされる。訳者あとがきにあるとおり史料的な2→3→4→7章、そして理論的な6・8章→5章と読み進めるのがいいかもしれない。

スケボーの経験がない人にとっては、精密な描写には少し戸惑うかもしれない。経験がないにもかかわらず身体感覚が伝わってくるからだろうか。かといって本書はスケートボーダーのために書かれた論ではもちろんない。たとえば自転車で商店街の人並みを縫ったり、路地でのかくれんぼや、公園の木登りでもかまわない、このような空間的な体験をスケートボードに置き換えてみればいい。

後半は建築と都市への批評になるわけだが、空間/権力的な抽象論になり少し見飽きた構図になっていなくもない。しかし全般にわたってアンリ・ルフェーブルからの引用(流用、再生産、、)がいきいきとして現れている。付録の「ルフェーブルと関連する用語」もわかりやすくまとめられている。ついつい本書をとおしてルフェーブルの著作にも手を出してしまった。

論だけを通してみれば、現在の建築と都市を批評しきる破壊力は持ち合わせていないかもしれないが、本書には実践を通してのみ現れるこれからの都市へのヒントが十分に詰まっている。

偶然に見たDVD ロード・オブ・ドッグタウンがまさに前半のスケートボードの歴史を知る上での副読本に最適である。

南後由和さんによるレビューSITE ZERO Reviewこちらも参照されたい。