アーバントレイル
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ベルギーのブルージュで行われる街中のランニングイベント「URBAN TRAIL」。変わっているのはコースが路上だけでなく、建物の中にもあること。まさに都市の中を駆け巡ることで、街がトレイルになってしまう。都市型のマラソンが観光スポットの風景を繋ぐのに対して、建築物の内部を繋ぎ、建築を外部の道や自然物と等価にすることができる。より直接的な観光体験にもつながっている。
実際にこのイベントを見てきた建築家 塚本良晴による紹介。
マルクト広場を起点に、道路だけではなく、いくつもの中庭や歴史博物館、市庁舎など公共建築のなかを約10km走り抜けるイベントだ。ブルージュでは街路型の建築がブロックの外周を囲み、内側に多くの中庭が抱え込まれている。病院、老人ホーム、小学校といった施設にあわせて、各中庭には、聴診器を持った看護師たち、車椅子に乗った高齢者たち、ドラムをたたく子どもたちが待っていて、走者を囃し立ててくれる。橋のところにはミュージシャン。走りながら街のどこに誰がいて何をしているのかが見えてくるしかけになっている。近代的な社会を形成するうえで必要な施設型の空間は、その専門性ゆえに人々を隔離する障壁をつくりがちだが、「アーバン・トレイル」はイベントの力を借りてこの障壁を破り、隔てられていた人々のふるまいが出会う空間となる。
10+1Website 非施設型の空間から考える建築の社会性──「資源」とふるまいのインタラクション
http://10plus1.jp/monthly/2016/01/issue-05.php
「作る都市から使う都市へ」という副題をもつ塚本氏の「トーキョーリサイクル計画」(2000年)にも近いプロジェクトがあったような気がする。
http://db.10plus1.jp/backnumber/issue/tpobibid/27/
マラソンではないが、本サイトでも取り上げた空中廊下で繋がったビルの街区をコースにした、MTBレースの事例。
Red Bull Ride the Sky
Brugge Urban Trail 公式サイト
http://www.sport.be/bruggeurbantrail/