「中身化する社会」が示す、21世紀の本質的生き方
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去年のニューヨーク体験で、現地の人たちがとにかくおそろしくカジュアルで、でもそれがダサいかっていったらダサくない。どちらかというと日本に帰ってきて、みんながスーツとかジャケットとか着ている姿を見て、改めて似合ってないなって思ったんですよ。そして安っぽい。でも向こうの人たちは安っぽくないんですよ。カジュアルなんだけど安っぽくないし、自分に似合った服を着ている。そのスーツやジャケットが似合ってない日本と、スーツやジャケットではないのにカジュアルなスタイルが似合ってるニューヨーク。
あとは食の環境の違いが大きいですね。スーツやネクタイをしながらも、ファーストフードで食事をしている大人がたくさんいる東京と、ファーストフードが劇的に減って、ボタンダウンシャツにチノパンだけどかなりオーガニックなものを食べるのが普通になっているニューヨーク。特に気取らないけれど本質的なものにはかなりこだわっているブルックリンの人たちとの意識の差に次の時代のヒントをもらった気がしたんです。外観や内装はおしゃれなのに、水っぽい野菜とブロイラーの鶏肉が平気で出て来る東京の飲食店で量販店で買ったスーツとネクタイをしてランチを食べている人々と、外観と内装はかなり地味なものが主流で、そのかわりオーガニックな野菜と契約農場からの良質な鶏肉や牛肉を提供することが当たり前になっているブルックリンの店のカジュアルな装いの人々と、どっちが豊かなんだろうと思ったわけです。はたしてどっちがスマートなんだろうかと。
そして、このオーガニック化、カジュアル化、本質化の急激な浸透は、情報と関係があるのではと思ったんです。当時のニューヨークは、その時の東京よりもはるかにスマホやタブレットが普及していて、今の東京はかなり普及していると思いますが、人々がものすごく情報を得ている。さらにカフェや電車の中で、ソーシャルメディアに熱心に書き込んでいる人がすごく目について、こういう情報環境の中では、もう半端な見栄やイメージ操作は無意味だなと思ったんです。
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引用元: インタビュー:書籍「中身化する社会」が示す、21世紀の本質的生き方:編集者・菅付雅信氏 写真3枚 ファッション ニュースならMODE PRESS powered by AFPBB News.